長野県須坂市春木町476-1

須坂市地域福祉活動計画「助け合い起こし」について

須坂市地域福祉活動計画

とことんこだわってみました「住民による福祉のまちづくり」計画

私たちは福祉のまちづくりを「住民の手」でどうやってすすめていくのかに絞って「福祉活動計画」を立ててみました。

1.「関係機関によるサービス計画」になっていないか?

福祉計画といえば、行政や民間事業者、社会福祉協議会などによる「サービス」の計画のことだとみられています。しかし、まちづくりの主役は住民なのです。福祉計画も「住民の活動」計画が柱になるべきではないでしょうか。

2.住民はそんなに「頼りない」のか?

「住民が福祉のまちづくりを担えるものか?」という疑問が、住民の間にも、むろん関係者の中でも、渦巻いています。しかし、住民はそんなに頼りないものなのか。「住民の真の力」をまだ掘り起こしていないのでは?

3.この際、賭けてみよう - 「助け合い起こし」

福祉活動計画に住民が参加できるこの際、住民の手で「助け合い起こし」をしてみようではありませんか。「助け合い起こし」-私たちの心に長い間しまっておいたこの「夢」に、もう一度チャレンジしてみましょう。

4.関係機関等による徹底的な「支援」が前提条件

といっても、この夢を住民の力だけで実現することは不可能です。関係機関による徹底的な支援が欠かせません。彼等の力を住民活動の支援に振り向けられるかどうかが、「助け合い起こし」成否のカギを握っているのです。

今、なぜ「助け合い起こし」なのか?

私たちの福祉を取り巻く環境は、大きく変化しています。いまや世界的な現象である少子高齢化、核家族化や都市化の進展等は本市にも押し寄せ、住民の生活・福祉問題は急増する一方です。他方で、地域の共同意識は薄れ、住民の相互扶助機能も低下してきています。

1.福祉問題噴出の一方で、共同意識は希薄化

私たちの福祉を取り巻く環境は、大きく変化しています。いまや世界的な現象である少子高齢化、核家族化や都市化の進展等は本市にも押し寄せ、住民の生活・福祉問題は急増する一方です。他方で、地域の共同意識は薄れ、住民の相互扶助機能も低下してきています。そこで、行政等による総合的な福祉サービスの充実に最大の関心が向けられるようになりました。

2.サービスの充実と入れ替わりに、住民の助け合い意欲は減退

ところが、公的「サービス」の充実と入れ替わるように、住民の「助け合い」意欲はますます減退していっています。近所の要援護者への無関心が広がるほど、地域の連帯はさらに薄れていくという、悪循環になっています。

3.「サービスの受け慣れ」で、自立意識はさらに減退

サービスの受給者には「サービスの受け慣れ」が生じ、自立意欲はさらに減退、かえって重度化しているという調査結果も出てきています。意外な事ですが、住民の助け合いの輪の中にいれば、自然に自立意欲が湧いてくるのです。助け合いの中では、助けられの一方は許されませんし、自分のなんらかの活動をしなければならない-これが本人を「しっかり」させるのです。

4.そこであらためて、住民相互の助け合いの再興を

再び、住民の「助け合い」に期待をかけ直すべき時期になりました。これをただのお題目にしておくのでなく、本気でその実現にまい進しなければなりません。

住民を主役に。関係機関はその下支え役

住民が本気で「助け合い起こし」を始めるには、そのための環境が整う必要があります。その最大のものは、福祉の基本構図を転換する事です。

今までのように、福祉は主として公的機関が担い、住民は補完的な役割を果たせばいいというのではなく、逆に住民が福祉の主役に据え、関係機関はその補完、側面支援役に回るのです。実質はどうあれ、スジとしてそういう関係にすることで、住民の心構えも変わってくるはずです。

サービスは住民と共同で。できれば住民に返していく

そうすると、関係機関は住民の助け合いを側面支援する機能を思い切って強化しなければなりません。要援護者を引き取ってサービスするだけでなく、そのサービスを住民と一緒にすすめる、できれば住民の支え合いに要援護者を返していくぐらいの姿勢でいいのです。

1.「住民助け合い」支援機能を強化
2.サービスは住民と共同で-へ転換
 (できれば住民に返していくことも)
3.関係機関のサービス自体も「住民流」に転換へ

活動の実施計画

当面、ご近所の推進者やボランティア、ケアマネージャー、在宅介護支援センター、保健補導員など、保健福祉のさまざまな分野でのマップづくり(住宅地図の上に、人が集まる場所や地域を見守っている人などを落とし込み、まちの中の助け合いの様子を目で見える形にしたもの)を実験的に実施し、本市における最良のマップづくりの方法を検討します。

1.助け合い推進体制の整備

助け合いの推進への情報把握

当面、ご近所の推進者やボランティア、ケアマネージャー、在宅介護支援センター、保健補導員など、保健福祉のさまざまな分野でのマップづくり(住宅地図の上に、人が集まる場所や地域を見守っている人などを落とし込み、まちの中の助け合いの様子を目で見える形にしたもの)を実験的に実施し、本市における最良のマップづくりの方法を検討します。

住民主体の助け合い推進体制づくり

助け合いの主役はあくまで住民です。そこで住民主体の地域福祉の推進が実質的に可能になるよう、地域福祉活動計画の実施にあわせて、計画の軸になっている※ふれあいのまちづくり事業の推進会をさらに発展・拡大させていきます。

社会福祉協議会の助け合い支援体制の整備

住民が主体的に助け合いを推進していくため、社会福祉協議会の住民活動支援機能を強化していきます。

公共機関・施設の「ご近所支所」の設置推進

ご近所(およそ50から100数十世帯のふれあい・助け合いの圏域)を基本圏域として、そこで、たとえば、実質的に児童センターのような役割を果たしている家庭や店舗を児童センターと認知して、それなりの資金援助等をしていくことが望まれます。その他にも、デイサービスセンターや宅老所、老人センター、公民館なども、実質的にそれらしい機能を果たしている住民の活動を発掘して、その仕事を認知し、必要な支援をしていきます。

2.助け合い起こしの重点策

「当事者力」の強化

住民の支え合いが効果的に行われるには、まず当事者が「福祉の主体者」という自覚を持って行動できるようになることが肝要です。自身の福祉課題を意識し、その解決方法を考え、助け手を発掘し、活用していくという一連の行為(セルフケアマネイジメント)をこなせる当事者に育成するための諸事業が必要になります。そこで、住民向け福祉講座に「助けられ」を組み込んでいきます。学校でも福祉教育の一環として、この「助けられ教育」を広げていきます。

当事者主導のニーズ把握システムへの転換

マップづくりで、当事者の見込んだ人や家・店を発掘していきます。そこは、ニーズ発掘の拠点としても役立つだけではなく、そのニーズに対応する拠点としてもいかされます。その拠点に関係者が巡回し、引き取って専門的な技術と制度を活用して解決していく必要があります。このシステムを動かすために、巡回の適任者を選任し協力を求めていきます。

予防型福祉への転換―介護予防拠点の設置

各区の公会堂などを介護予防の拠点として、住民が気軽に取り組める、簡単な健康づくりのための器具が整備されることが求められています。保健補導員経験者等を介護予防推進の人材として活用するなどして、介護予防活動を働きかけていきます。定着していくことと並行して、「介護予防士」の資格制度を創設し、一定の研修の後、この資格を取得してそれぞれの持ち場で活動していく制度をつくっていきます。この資格付与のための研修に、ヘルパー3級程度の知識と技術を盛り込んでいく予定です。

助け合いの資源さがしと活動支援

市内の人が集まる家や店を「街角ボランティアセンター」とみなして、「街角掲示板」を設置して、関係機関からの住民向け情報だけでなく、住民の活動情報や「やってほしい」情報を掲出していきます。ふれあいのまちづくり事業で実施予定になっているので、この事業の推進とともに進めていきます。
公的機関や企業の業種に合った活動である本業型福祉活動を進めていきます。本業の腕、「モチはモチ屋」の腕を地域福祉に生かすよう働きかけます。その一環で、マップづくり等で掘り起こした市内の企業の活動を「いい店・いい会社マップ」などとしてマップ化していきます。店をサロンとして開放したり、雪かきボランティアを企業ぐるみで取り組んでいる事例などをまとめていくことも検討します。

住民型事業者の発掘・活用

マップづくりにより、ご近所ごとに「事業」意欲を持った活動家を見つけていきます。その人は、ご近所の福祉の充足状況を見てきた目での企業志願ですし、もともと世話焼きさんの資質を備えている人なので、住民からも支持されています。宅老所やグループホーム、子育てサロン、児童センター、移送サービスなど一般的に考えられますが、それだけでなく本計画に盛り込まれたさまざまな新しい事業企画にも取り組まれるよう提案していきます。また、こうした福祉起業の支援自体を事業として進めることについても検討します。

助け合いの啓発・情報活動

住民の助け合いを仕掛けていくためには、さまざまな啓発活動や情報提供が欠かせません。「助け合いは大切なのだ」ということを伝えていかねばな りませんので継続的なキャンペーンを進めていきます。
助け合いの機運を盛り上げる一環として、社会福祉大会との同時開催などで「助け合い推進大会」を開催します。

3.助け合いの環境づくり

ふれあい社会の構築

合流型グループのモデル実施を進めます。例えば、老人クラブの組織に 60歳代の予備軍をクラブの運営支援者として位置づけ、そこに要介護の 老人も加わり、同時に介護サービスグループもネットワークするという新 しい合流型クラブの実施も考えられます。また、小中学生の部活や総合学 習、ボランティア活動などを、地域で大人のグループと一緒に進めるとい う形で実施していくことも実験的に進めていきます。
安らぎと潤いのある道路づくり・居場所づくりのため、ふれあいを演出する道路づくりを進めていきます。ふれあいのまちづくり事業で、すでにこの問題に取り組んでいる(ベンチづくりなど)ので、これを発展させていきます。憩いのできる道路、交流のできる道路、花壇のある道路、見守りの居る道路など安らげる場をつくっていきます。

「迷惑かけ合い」社会の創造

助け合いがうまくできるためには、助けられる側が気軽に「助けて」と言えるかどうかにかかっています。助けを求めやすい環境、迷惑をかけても許される環境をつくっていきます。これまでの「助け上手」(ボランティアや介護者)の表彰はありましたが、これからは、逆に「助けられ上手」を表彰の対象にするよう検討します。

お節介文化づくり

もともと福祉活動のセンスを持っている人も「お節介」の声にはばまれて積極的に活動できない状況があります。ふれあいや助け合いが盛んに行われる地域社会をつくっていくには、新しい「お節介文化」をつくっていかなければなりません。そのために大きな運動に盛り上げていきます。

人を活かす社会づくり

どんな要介護の状態でも、人の役に立てる機会が提供される社会、自分も人の役に立てると思えばこそ、人の善意を素直に受け入れることができるのです。どういう人にどんな「活動」の機会を提供できるか、今の福祉システムの中にどのような仕掛けをほどこしたらいいか研究していきます。
福祉サービスの利用者が、ただ、どのようなサービスを受けるのがふさわしいかだけでなく、逆にこの利用者が、地域に対してどんなことができるのかをケアマネイジメントの記入様式に設けるよう働きかけます。

自己実現社会づくり

「困ったことをしてあげる」というより、「(その人の)自己実現を支援する」ことが望まれています。要介護になっても、それなりの自己実現が図られる社会をめざします。
福祉サービスの利用者に、ただ提供すべきサービスのあり方を考えるだけではなく、その人が本来求めている自己実現のサポートの仕方を考え、実践する人材を確保または養成していきます。

※ふれあいのまちづくり事業
平成14年度から国の指定を受け、社協で取り組んでいる事業。「共に支え合う地域社会づくり」を目的に、住民主体の事業を展開している。